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null「覚王院に会うて彰義隊以下各隊を解散させるよう説得してくれぬか」  ——厭な役目だな、  と思うが、この際、断る訳にもゆかない。  鉄太郎は供の者もつれず、単身上野の山に上っていった。  彰義隊を操っている者は、覚王院義観と竹林坊光映、なかんずく前者であることは充分承知している。  ——覚王院と膝詰談判をしてやろう、  と、本営になっている寒松院にやってきて、義観に対面を申し入れる。  ——大目付山岡鉄太郎、  と聞いて、義観は、対手にとって不足なしと思ったものか、直ちに面会を承諾した。  容貌魁偉、六尺豊かの大男である。頭も鋭く弁も立つ。慶応三年以来、輪王寺宮執当職として上野全山に威権を揮っている男だ。  彰義隊以下各隊の士を上野に集め、その所要費用を調達し、隠然として官軍の一敵国としての存在をみせているのは並々ならぬ策謀と行動力の所有者であろう。  だが、鉄太郎は、一見して、  ——売僧《まいす》め、  と、腹の中で舌打ちした。  ——これは本物の坊主ではない。自尊と野望とに満ちた、俗臭|紛々《ふんぷん》たるいかさま坊主だ。乱世に乗じて一仕事企んでいる手合の一人に過ぎぬ。  相対して座し、双方が眸をぴったり合せること数秒、鉄太郎は対手をそう評価した。  禅で鍛えあげた彼の心魂は、みせかけの異相や、倨傲《きよごう》な態度にはびくともしないのだ。  真剣勝負の時のようなその鋭い眸を、さすがの義観も、じっと受け止めかねたものか、先に視線を逸《そ》らせると、不機嫌な声で口を開いた。