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2015-01-30 09:32    ポールスミス財布メンズ
「一日違いでよかったですわねえ。昨夜だったら大嵐で。」 「そう、昨夜だったら、どっかで立往生してたんでしょう。旅費がぎりぎりだったから、困っていたでしょう。」と彼は笑いながらビールを註文した。  コップに一口つけると、「ああ、おいしい。」と、思わず兼介は舌打ちをした。田舎ではビールを売ってなかったので、彼はビールに飢えていた。東京へ帰ったら、まっ先にビールを飲もうと思っていた。冷いビールが咽喉を通ると、顔が綻びて、笑《え》みが込み上げて来るほどだった。それは、東京へかえった実感そのものであった。彼は、空けたコップをお菊さんに差した。お菊さんは一息に飲み干した。 「田舎は如何でした!」 「毎日ぼんやりしていましたよ。しかし、田舎にいる間に、夜も眠れるようになったし、食事もおいしくなったし、よかったと思います。」と言いながら、彼は陽に焼けた腕をさすった。 「それはようございましたわねえ。沢渡さん、ちっともお便り下さらないものだから、心配してましたわ。御病気ではないかと思って。」 「僕、手紙出したんだけど、宛人不明の符箋がついて、戻って来たんです。帰りに、京都駅の食堂で書いた葉書も着かなかったんでしょうね。」 「着きませんわ。それならよかったけど、わたし、待ちましたわ。心配もするし、随分薄情な沢渡さんだと思って、毎日プンプンしていましたわ。」とお菊さんは一寸拗ねた顔をして笑った。 「僕も悪いと思いながら、届かないから仕方がなかったんです。あなたの手に、僕の手紙が一つも渡らなかったことが、たった一つの心残りなんです。もう後の祭になったんだけど、嘘でない證拠に、その手紙、今度持って来て見せましょう。」事実兼介は、その手紙をトランクの中に入れて持って来ているのだった。 「わたしの上げた手紙は届いたでしょうか。」 「届きました。虎の子のようにして持って来ています。」  それも事実であった。友人や雑誌社などから貰った手紙は、みんな郷里に置いて来たのに、お菊さんの手紙一つだけは、大事に持って来ているのだった。 「あんな手紙、恥しいから、破って頂戴。」と、お菊さんは極り悪そうな顔をした。彼は取合わなかった。 「大分待った?」 「ええ、一時間くらい。三時に起きて、四時四十二分の二番で来ましたから。沢渡さんは、きっと一番の電車でいらっしゃったものと思いましたの。」 「じゃア、丁度一時間だ。悪かったなア、僕が乗ったのは、五時四十二分の電車でしたからねえ。でも、よかった。僕は諦めていましたからねえ。」 「わたしが来た時は、まだ改札が始まってなくて、みんな地下道に並んでましたの。それで、右側からも、左側からも、一人々々よく見て歩いたんだけど、沢渡さんのお顔が見えませんの。ここに並んでからも、あっちの列こっちの列と、飛び廻って探していましたわ。」