ルイヴィトン長財布モノグラムジッピーウォレット草間彌生ヤヨイクサマパンプキンドット
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null 驚いて、僕はきき返す。あの小さなお膳《ぜん》に乗っていた2枚の札を思い出す。  そうだ——間違いなく、あの小さな漆のお膳には、細い筆で戒名らしきものを書いた紙の札が2枚立て掛けてあった。 「確かに……リョウが生まれた翌年、1度だけ、中絶したことがある……わたしひとりじゃ、もうあれ以上、子供を育てられないと思ったから……だけど……だけど、わたしが中絶したのはその1度だけなのよ……」 「それじゃあ……もうひとつの位牌《いはい》は……いったい、誰のなんです?」 「……もうひとつの位牌?」 「そう……漆のお膳に立て掛けてあった2枚の位牌のうち、もう1枚は誰のだったんです?」  母はほんの少し、考える。それから言う。 「ああ、あれは……あれは、リョウの双子の兄弟の位牌よ」 「僕の……双子の兄弟?」  あまりの驚きに、僕は一瞬、言葉を失う。「……嘘でしょ?……そんな……嘘でしょ?」  そう呟《つぶや》き、無意識に唇を嘗《な》める。 「嘘じゃない。本当よ」  裸でベッドマットを抱いたまま、母が言う。「リョウは双子だったのよ……確かに産婦人科の医者に双子だって言われたの……だけど、もうひとりは、途中でいなくなってしまったのよ」 「……いなくなった?」  僕の体内を不思議な戦慄《せんりつ》が走り抜ける。 「そうよ。いなくなったの。最初はふたつきこえていた心臓の音が……確か……妊娠12週か13週ぐらいの時に、ひとつだけになってしまったのよ」  母の声がきこえ、僕の中で何かがはじけた。