ソフィアコッポラ上映
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null 僕の脇腹《わきばら》を小突《こづ》いてきた。多少の痛みはあったけど、人の傷に触《ふ》れておいてそれだけなら安価だ。 「というわけで、度会《わたらい》さんを嫌疑《けんぎ》しまくったわけです」 「中略すな」 「夜に一樹《いつき》の病室へ行ってる、ということは名和三秋《なわみつあき》と接触《せっしょく》する可能性や時間が十分にあるってことですから」  それに対し、看護師さんは髪《かみ》を指で摘《つま》みながら、曖昧《あいまい》に唸《うな》る。 「まーそれはいいとしても……不自然なことがあるんだけど」 「なんですか?」 「なんで度会さんは、死体のとこなんかに遊びに行ってたの?」  あー、それですか。  僕にとっても悩《なや》みの種だったんだよな。 「本人から答えを提示してもらった方が確実なんですけど……多分、謝《あやま》りに行ってたんじゃないかって、今は考えてます」 「謝罪? 誰《だれ》によ」 「名和三秋に、許しを請《こ》うてたんじゃないかって。死体を埋葬《まいそう》してすぐ、原因不明の体調不良。安定を欠いていた心が呪《のろ》いと受け取ってしまっても臆病《おくびょう》者と恥《は》じれませんよ」  そして、度会さんは腐乱《ふらん》始めの死体を拝みに行き、結果として僕に疑われるようになった。  その日に長瀬《ながせ》からノートを借り受けなければ、僕たちはコンビニには行かなかったはずで。  孫の行動が聞接的に、度会さんの精神を快《えぐ》る要因となった。こういうのを皮肉といいます。 「後は嫌《いや》がらせして追い詰《つ》めて後押しして。昨日、度会さん自身がようやく決意と共に行動に出てくれて、それが証拠《しょうこ》になったわけです」  あそこまで意気|軒昂《けんこう》に吹《ふ》き返すとは、予想していなかった、というか結果については深く考えてなかっただけだ。